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山の活動/第13回 【日之影町、英国館探訪】

山の活動/第13回 【日之影町、英国館探訪】

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 日之影町見立地区に、『英国館』と呼ばれる欧風の古い館があります。見立川上流、深い谷と森林に囲まれた英国館は、大正末期に見立鉱山の経営者であった、ハンス・ハンターが、英国から招いた鉱山技師の住居と社交の場として建てたものです。その当時は、「倶楽部」と呼ばれていました。

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 現在の建物は、昭和六十一年十一月に日之影町により修復、再現されました。当時の建築様式の趣と暮らしをそのままに、見立鉱山の繁栄を伝える大切な資料館として、今も役立てられています。

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【英国館(クラブハウス)概要】(日之影町英国館資料より)  

 大正末期に見立鉱山の経営者であったハンス・ハンターが、英国から招いた鉱山技師の住居として建てたものである。
 建物は、当時の日本の洋風建築としては珍しいレイモンド建築様式が用いられ、丸太材や幅の広い一枚板を使用するなど木の魅力を十分に活かした構造である。
 室内には、水洗トイレ、暖炉、電気ストーブ、スチーム暖炉などの設備があり、当時の西欧の生活水準の高さを物語る。
 見立鉱山の閉山によりこの建物も荒廃したが、昭和六十年に日之影町がラサ工業(株)から譲り受け、昭和六十一年十一月に修復した。クラブハウス「英国館」と命名された施設内には、当時の調度品や旧見立鉱山の資料が展示されている。
 また、平成二年には英国総領事ニコラス・マッカーン氏夫妻が来町され、モミの木の記念植樹をされた。    

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【ハンス・ハンター】(英国館資料より)

 ハンス・ハンターはイギリス・アイルランド州出身の実業家の父、E・H・ハンターの次男として、明治17(1884)年、神戸で生まれた。日本名は範多範三郎。7歳で英国に留学し、国籍を英国に移した。ロンドンで英国王室の鉱山学校を卒業して日本に帰り、その後もアメリカやヨーロッパで鉱山技術を学んだ。やがて金山の開発に着手し、日本では大正6~7年の鯛生金山の経営にはじまり、近代的な技法で当時産出量日本一を達成していた。大正13年、内藤家から見立鉱山と木浦鉱山(大分県・宇目町)の鉱業権を譲り受け、大正15年に東洋鉱山(株)を設立して社長となった。ハンターは英国から技師を招き、鉱山開発の資材を全てイギリスから輸入した。昭和2年頃から錫精鉱の生産に着手し、次第に隆盛を極めていった。
 昭和5年から13年頃の全盛期、従業員世帯は340戸を超え、人口は1200人、従業員数は460名余りを数えたという。ハンターは盆や正月を利用して見立鉱山を訪れていた。神戸からの汽船が別府に着くと、社長専用の外車が迎えに行く。ダービーハットに緑色のマントをまとって見立を訪れたハンターは、従業員に小遣いを与えたり、全家庭にクリスマスプレゼントを東京から贈るなどしていた。また、多趣味な彼は従業員やその家族に集めさせた蝶を買い取り、コレクションを楽しんだり、高千穂町の五ヶ所高原で猟を楽しんだ。大戦の混乱とともに見立鉱山の経営から手を引いたハンターは、昭和22(1974)年、64歳で死去した。

【英国館】

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当時使われていたテーブルと机。木肌を活かしたつくりがモダンでとても素敵です。

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英国館の模型

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英国総領事寄贈のユニオンジャック。

 部屋がそれぞれ、英国館、見立鉱山をテーマに構成されています。

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見立鉱山の中心部。真ん中上に英国館、左斜面に精製施設。右斜面に社宅があります。

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地下に掘られた坑道は、迷路のようです。

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防毒マスク。

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見立鉱山で採掘された鉱石。

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ゆり鉢。錫の精製にしようしたもの。一枚板でつくってあります。

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ハンターは、日本にフライフィッシングをもたらした中心的人物。愛用のつり蔵展示してあります。

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倶楽部として使用していたときは、スチーム暖房の設備も整えられていたそうです。ボイラー室でつくられた蒸気を上手く使い、活用していました。

【ハンス・ハンターの写真】

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ハンス・ハンター

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選鉱場。

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鉱山で働く労働者。

【英国館/お問い合わせ】

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英国館
住所 宮崎県西臼杵郡日之影町大字見立2234−2
営業時間 午前9時~午後4時まで
定休日 年中無休
入館料 大人:300円   子供:150円
http://www.hinokage.jp/web/kankou/eikoku.html

お問い合わせ
リフレッシュハウス出羽
電話:0982-89-1220

(レポート 藤木哲朗)
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